公開講演会「異文化間ビジネス?コミュニケーションの教え方—私のノルウェーの旅—」(Teaching Intercultural Business Communication: My Norwegian Journey)
INFORMATION
グローバルなビジネス環境はますます複雑化?多面化しているが、多くの異文化間ビジネス?コミュニケーションの講義では、いまだに単純化された言葉で文化を説明している。しかし、過去10年の間に新しい理論的枠組みが登場し、この分野に「乱気流」を生み出している。こうした変化は伝統的な視点に挑戦し、異文化間ビジネス?コミュニケーション教育により繊細かつニュアンスを重んじたアプローチを求めている。
Kristin Rygg氏は、同僚と共にChallenges of Teaching Intercultural Business Communication in Times of Turbulenceという論文(Ly & Rygg, 2016)を出版し、異文化間ビジネス教育がどのように刷新されうるかを探求した成果を示した。それ以来、ノルウェーのベルゲンにあるノルウェー経済大学で教えている異文化間ビジネス?コミュニケーションのコースは、進化するパラダイムに合わせるために多くの改革を経てきた。その努力が認められ、今年、Kristin Rygg氏は「エクセレント?ティーチング?プラクティショナー」の称号を授与された。
この公開講演会では、異文化間ビジネス?コミュニケーション教育に対する一つのアプローチを、教室での活動を交えて述べる。Kristin Rygg氏の教育哲学は、構成主義的学習理論、特にブルーナーの発見学習の概念に強く影響を受けている。認知心理学に根ざしているブルーナーは、学習者が受動的に答えを受け取るのではなく、能動的に洞察の発見に関与することで、より深い理解が得られると主張している。この哲学に導かれ、教室でもこの公開フォーラムのような場でも、双方向的で示唆に富み、魅力的な学習体験を創造することに努めている。この講演が、洞察に満ちたものであると同時に、インタラクティブで楽しいものとなり、Kristin Rygg氏自身も聴衆から新たな視点を得ることができるダイナミックな意見交換の場となることを願っている。
講師
ノルウェー経済大学准教授
Kristin Rygg 氏
2012年、ノルウェー経済大学(The Norwegian School of Economics)に着任。1998年にロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で日本語応用言語学の修士号を、2012年にベルゲン大学/NHHで「日本語とノルウェーのビジネス言説における直接性と間接性」をテーマに社会語用論の博士号を取得。1995年以来、NHHで日本語クラスを担当し、現職でも日本語クラスを担当している。また、東アジア(中国と日本)を中心とした異文化間ビジネス文化とコミュニケーション、異文化間トレーニングも専門としている。近著に以下の論文があり、その他論文多数。
Rygg, K. (2021). Openings and closings in workplace emails. How do people navigate without clear standards and clearly prescribed formulae? Hermes 61, 7-21.
Rygg, K. (2023). How Scandinavian political leaders appealed to cognitive or affective-based trust during the Covid-19 pandemic. In N. Thielemann & D. Weiss (Eds.). Remedies against the pandemic: How politicians communicate their crisis management. John Benjamins Publishing.
Rygg, K. (2024). Can working for a foreign-affiliated company in Japan be considered “experiencing Japan”? Journal of Intercultural Communication 27, 41-56.